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小松 一生*; 則竹 史哉*; 町田 真一*; 佐野 亜沙美; 服部 高典; 山根 崚*; 鍵 裕之*
Scientific Reports (Internet), 6, p.28920_1 - 28920_11, 2016/07
被引用回数:24 パーセンタイル:54.46(Multidisciplinary Sciences)氷には17種類もの多形があるが、高圧低温状態で現れるとされる氷XV相の構造と性質には多くの矛盾があり、氷の未解決問題の一つとなっていた。本研究では、氷XV相の低温高圧下で中性子回折の直接観察を行い、氷XV相が異なる水素配置を持つ複数のドメインからなる部分秩序相であることを明らかにした。この結果は氷XV相に関する過去の研究の矛盾点を解消でき、さらに、氷の多形において秩序相,無秩序相に加え、部分秩序相という第3の状態を考慮に入れる必要があることを示唆するものである。
Li, K.*; Zheng, H.*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; Tulk, C. A.*; Molaison, J.*; Feygenson, M.*; Ivanov, I. N.*; Yang, W.*; Mao, H.-K.*
Inorganic Chemistry, 54(23), p.11276 - 11282, 2015/12
被引用回数:5 パーセンタイル:25.67(Chemistry, Inorganic & Nuclear)3重結合における圧力誘起重合は共役二重結合を引き起こすと考えられている。比較的低い圧力において重合を起こす金属シアン化物を探索するために、無水のLiFe(CN)を合成し、その結晶構造を調べた。実験の結果、CNの不可逆な結合が、工業的な装置でも実現できるほど低い圧力で達成された。それに伴い電気伝導度は3倍に増加し、重合化したLiFe(CN)はリチウムイオン電池の電極として使える可能性がある。
長壁 豊隆; 加藤 義博*; 本元 悟*; 桑原 慶太郎*
高圧力の科学と技術, 25(1), p.57 - 63, 2015/03
強相関電子系物質の圧力誘起相臨界領域で発現する新奇物性を、同一の高圧試料環境下において構造-磁性-伝導の相関の視点から研究するため、中性子回折用ハイブリッド式対向アンビル(HA)を用いて電気抵抗との同時測定を実現するための技術開発を行っており、現在、これに不可欠なガスケットの絶縁技術開発を中心に行っている。HAでは、中性子透過率を重視してアルミ合金(JIS A2017P)ガスケットを使用している。我々はこれに着目し、ガスケット表面に特殊な陽極酸化皮膜(ミタニライトト)を形成し、これを絶縁層として利用する方法を考案した。室温下でミタニライト皮膜付きガ スケットの加圧試験を行った結果、測定用リー ド線の断線やショートを起こさずに約6GPaの圧力発生に成功した。
大村 彩子; 町田 晃彦; 綿貫 徹; 青木 勝敏; 中野 智志*; 竹村 謙一*
Proceedings of Joint 20th AIRAPT - 43rd EHPRG International Conference on High Pressure Science and Technology (CD-ROM), 3 Pages, 2005/06
イットリウム(Y)の水素化物は、金属格子中の水素数によって多彩な物性を示す。この物質では、2つの絶縁体と金属間の転移がある。まず、一つめが金属でfcc構造の2水素化物から絶縁体でhcp構造の3水素化物への転移である。この金属-絶縁体転移に関して理論研究がされており、バンドギャップの形成は金属のd軌道と水素のs軌道の混成によるとの推測がある。もう一方は、絶縁体の3水素化物で見いだした圧力誘起金属化である。Yの3水素化物における金属化もまた、理論計算からおよそ15%の体積減少で生じることが推測されていた。われわれは高圧力下で合成した試料を用いて赤外分光測定を行い、3水素化物の絶縁体-金属転移を圧力23GPaで初めて見いだした。Yの3水素化物が圧力10GPaから20GPaの領域でhcp構造からfcc構造へ変化することが知られている。金属化した23GPaは既にfcc構造への転移が完了しているために、この圧力誘起金属化は構造変化を伴わない電子転移的な変化の可能性が考えられる。
Hannan, A.*; 長壁 豊隆; 神木 正史*; 岩佐 和晃*
Applied Physics A, 74(Suppl.1), p.S565 - S567, 2002/12
被引用回数:6 パーセンタイル:28.31(Materials Science, Multidisciplinary)CePはこれまでの研究により、1.7GPa以下で加圧に対する磁気構造の系統的変化(磁気相図)が明らかにされていた。一方、磁性中金属相が約6GPa以上で非磁性金属相になることが知られている。本研究ではCePの1.7GPa以上の磁気相図を明らかにし、どのような過程を経て非磁性金属相へ移り変わるかを調べることを目的とした。新開発したサファイアアンビル高圧セルを使用した中性子回折実験の結果、加圧とともに、4構造(oooo),2構造(oo),3構造(oo)という中間相を経て、2.5GPa以上で単純な強磁性相へと変化することが明らかになった。これらの構造は常圧のCeSbの構造と同一または類似の構造であり、Ceモノプニクタイド系の磁性がキャリアー数(価電子帯Pホール数)を1つの基本的な物理パラメータとするモデルで統一的に理解されるという考えを支持する結果となった。
長壁 豊隆; Hannan, A.*; 舘 紀秀*; 神木 正史*; 北澤 英明*
Applied Physics A, 74(Suppl.1), p.S799 - S801, 2002/12
被引用回数:6 パーセンタイル:28.31(Materials Science, Multidisciplinary)CeSbについては、フランスのグループによる中性子回折により2GPa以下の詳細な磁気相図が報告されていた。一方、東大物性研グループにより、約2GPa以上で、60K以下の温度で電気抵抗の巨大な増強が報告されていた。本研究は、この圧力誘起の巨大電気抵抗が生じる領域での磁気秩序の有無を調べること、また、フランスのグループの中性子回折実験と東大物性研グループの電気抵抗との間で、2GPa付近にある磁気相図のギャップを解決することを主な目的とした。新開発したサファイアアンビル高圧セルを使用した中性子回折実験の結果、電気抵抗の増大とともにAF-I反強磁性相が発達し、電気抵抗の急激な減少と一致して、AF-IA反強磁性相が発達することが明らかになった。またわれわれの結果は、電気抵抗の相図と良く一致し、フランスグループの結果に間違いがある可能性を示すものであった。
長壁 豊隆
高圧力の科学と技術, 11(3), p.203 - 210, 2001/00
中性子散乱はミクロスコピックな視点で磁性を研究することのできる強力な研究手段である。本稿ではサファイアアンビルセル(SAC)による高圧力発生の技術的なノウハウと、これを用いた高圧力下の中性子散乱による磁性研究について紹介する。(2.5mmキュレットのアンビルとリン青銅ガスケットを用いて約6GPaまでの圧力発生に成功し、また、4.6GPaまでの圧力下でCeSbの磁気構造と圧力-温度相図を決定することができた。)高圧力下中性子散乱では、微小試料のために非常に低いシグナル強度しか得られない。これを補うためのスーパーミラーを用いた新しい集光デバイスの試みについても紹介する。
長壁 豊隆; 神木 正史*; 岩佐 和晃*; 久保田 正人*; 吉澤 英樹*; 芳賀 芳範; 鈴木 孝*
Physica B; Condensed Matter, 281-282, p.434 - 436, 2000/06
被引用回数:5 パーセンタイル:32.74(Physics, Condensed Matter)高圧下でのCeAsに対する中性子回折により、CeAsの圧力-温度相図がCePのそれと極めて良く似ていることを初めて明らかにした。ある臨界圧力値以上でどちらの物質も状態と状態の(007)Ce面が規則正しく積層した特異な長周期磁気構造が現れるが、この臨界圧力がCePでは約0.3GPaであるのに対し、CeAsでは約1.2GPaであることが明らかになった。このことは、それぞれの物質のキャリア数の違いとp-f混成効果の性質により理解できる。
福田 武司
プラズマ・核融合学会誌, 75(12), p.1377 - 1395, 1999/12
1980年代以降、大型トカマク装置の開発と高速計算機の実用化が相俟ってプラズマ制御技術は飛躍的な進展を果たした。位置形状検出にかかわる基本技術が確立した現在、プラズマ制御の中核をなすのはプラズマ物理量の実時間帰還制御であり、実験研究の結果が随時制御アルゴリズムに組み込まれる動的な展開で開発が進んでいる。本稿では、トカマクにおけるプラズマ制御技術の現状と今後の方向性を展望する。統計処理法を用いた位置形状検出技術と多変数線形帰還制御を駆使することにより、高い自由度で平衡配位を設定できるようになった結果、高性能炉心プラズマの開発に必要不可欠な基盤データが蓄積された。これを踏まえてプラズマ物理量の実時間帰還制御に焦点を当てた開発が進展し、世界最高の等価エネルギー増倍率達成に貢献した。今後は、高い統合性能の実現を目的とした先進制御技術の開発が重要な研究課題になる。
川野 眞治*; 盛合 敦; 大友 昭敏; 福井 進*; 小野寺 昭史*; 網田 富士嗣*; 片野 進
Physica B; Condensed Matter, 241-243, p.145 - 147, 1998/00
被引用回数:1 パーセンタイル:11.82(Physics, Condensed Matter)三つの極限条件である、高圧力、高磁場、低温を、同時に実験試料に負荷しながら中性子散乱実験ができる、多重極限条件発生装置を開発した。この装置は、2.5GPaまで実験試料を加圧できるように設計した非磁性材クランプ型の高圧セル、0Teslaから5Teslaの縦磁場を発生するスプリット型超伝導マグネット、実験試料温度を1.7Kから200Kの範囲で変えることができる温度可変内筒クライオ、そしてこれらを格納する液体Heクライオスタットから成る。また、超伝導マグネットの形状は、偏極中性子散乱実験ができるように上下非対称とした。本装置の概要と、これまでJRR-3Mと京大炉で行った特性試験の結果について報告する。
浦川 啓*; 井川 直樹; 梅咲 則正*; 五十嵐 一男*; 下村 理*; 大野 英雄
High Pressure Research, 14(4-6), p.375 - 382, 1996/12
被引用回数:6 パーセンタイル:53.11(Physics, Multidisciplinary)高温高圧下において熔融KClのX線回折実験を放射光を用いて行った。実験は白色光を用いてエネルギー分散法で行い、4GPaまでの圧力で、融体のX線回折パターンを得た。解析の結果、液体の構造因子S(Q)は4GPaまででは大きな変化を示さないが、S(Q)の第1ピークの強度が圧力と共に大きくなることがわかった。このことから、溶融KCl中では固相で起きるような一次の相転移は生じていないが、局所構造が徐々に変化していると考えられる。また分子動力学法によるシミュレーションの結果とくらべると、S(Q)の圧力による変化は、熔融KCl中の最近接イオンの配位数の連続増加によって説明できることがわかった。
安西 修一郎*; 小沢 国夫
Physical Review B, 18(5), p.2173 - 2178, 1978/00
被引用回数:105MnNiGeは常圧下ではT~400°kでTNS型とNI型間の原子変位に起因する1次の相転移を行う。又ネール点T~340°kでは常磁性とフェリ磁性間の2次の相転移を行い、スピン系にらせん変調が加わる。我々はこの転移時の熱変化を尺度として、高圧下のDTA測定を行い、T,Tの挙動を調べた。得られた結果は次の通りである。?)1次転移Tは-11°k/kbarの負の圧効果を示す。Ii)2次転移Tは+2°k/kbarの正の圧効果を示す。Iii)3.5kbar以上の高圧下ではTは消失し、PRI=3.6kbarの3重点が存在し、それ以上の圧力下では1次転移的な原子変位兼磁気転移の相変化を行う。Toupは-5.4°k/kbarの負の圧効果を示す。結果はLandauの自由エネルギ理論から解析された。
安西 修一郎*; 小沢 国夫
Journal of Applied Physics, 48(6), p.2139 - 2144, 1977/06
被引用回数:16NiSはTt-230°Kで非金属から金属状態に転移し、Ttの圧力係数dTt/dP=-6°K/kbarで、Pc-20kbarで、Ttは消失する。ストレンゲージ法で測定した、c及びa軸の格子常数に対する圧力効果は異方性を示し、caであった。圧縮率=110/kbar、熱膨張係数1.510/kの測定値を用い、反強磁性金属のStonerモデルを用いてギャップは体積に比例、ストレインエネルギーは体積2乗に比例するとしてSimulationを行った。結果として自由エネルギーをParameterとした。Tt-P diagramがえられmodelの妥当性を明にした。
長壁 豊隆; 加藤 義博*; 桑原 慶太郎*
no journal, ,
強相関系物質の圧力誘起相臨界領域で発現する新奇物性を構造-磁性-伝導の相関の視点から研究するため、ハイブリッドアンビル(HA)を用いた高圧力下の中性子回折と電気抵抗の同時測定技術の開発を行っている。HAでは、軟質ではあるが中性子透過率に優れるアルミ合金(JIS2017P)をガスケットとして使用している。同時測定を実現する上で、特に、軟質なガスケット表面にいかに強固な絶縁層を形成できるかが鍵となる。本開発では、電解液に特殊樹脂を添加する陽極酸化法によりガスケット表面に厚い皮膜(ミタ二ライト)を形成し、これを絶縁層として利用するという、これまでにない方法を発案した。この手法で形成した80m厚のミタ二ライト絶縁層付きガスケットを使用し、金線をリード線として配線して加圧試験を行った結果、皮膜なしの場合に比べて加圧効率が落ちることなく、また、リード線の断線やショートを起こさずに最高5.5GPaの圧力発生に成功した。一般的なエポキシ接着剤を使用する絶縁層に比べてミタ二ライト絶縁層は水素を含まないため、中性子回折実験においてバックグラウンドが上昇する心配がなく、また、絶縁層形成の手間が少ないなど利点がある。
鎌田 裕
no journal, ,
JT-60SAの役割は、ITERを支援するとともにITERでは実施が難しい定常高圧力プラズマの研究開発を行い、原型炉の姿を決めることにある。この装置の特長は、超伝導大型トカマク、高形状ファクター、高パワー・長時間かつ多彩なプラズマ加熱・電流駆動・運動量注入、高い熱・粒子制御性能、高いプラズマ安定制御性能等である。この装置を用いて、ITER及び原型炉を直接見通すあるいは飛躍無く予測できるプラズマ領域で研究開発を進める。特に、原型炉に求められる総合的なプラズマ性能を実現するとともに、これを現実的かつ信頼性の高い制御で定常的に維持する研究に挑む。2019年3月の実験開始に向けて、日欧の機器製作と組み立て作業は順調である。
長壁 豊隆; 加藤 義博*; 本元 悟*; 桑原 慶太郎*
no journal, ,
強相関電子系物質の圧力誘起相臨界領域で発現する新奇物性を、同一の高圧試料環境下において構造-磁性-伝導の相関の視点から研究するため、中性子回折用ハイブリッド式対向アンビル(HA)を用いて電気抵抗との同時測定を実現するための技術開発を行っており、現在、これに不可欠なガスケットの絶縁技術開発を中心に行っている。HAでは、中性子透過率を重視してアルミ合金(JIS A2017P)ガスケットを使用している。我々はこれに着目し、ガスケット表面に陽極酸化皮膜(アルマイト)を形成し、これを絶縁層として利用する方法を考案し、特に、陽極酸化処理の電解液に特殊樹脂を添加することでA2017P等の難アルマイト材にも厚い皮膜形成が可能な新しい処理法(ミタニライト)を採用した。実際にミタニライト処理をA2017Pガスケットに施したところ、一般の硬質アルマイト処理で得られる皮膜に比べて10倍以上ある約80m厚の皮膜が得られた。室温下でミタニライト皮膜付きガスケットの加圧試験を行った結果、皮膜なしの場合と同等の加圧効率が得られ、試料室の大きな変形や測定用リード線の断線、ショートを起こさずに最高5.5GPaの圧力発生に成功した。また、この技術を用いて充填スクッテルダイト化合物PrFePについて低温高圧力下での電気抵抗測定に成功した。同時測定ではないが加圧条件は完全に同一であり、この物質の絶縁体転移が中性子回折で見出した反強磁性秩序に起因することを明らかにした。
佐野 亜沙美; 服部 高典
no journal, ,
地球の下部マントルに相当する高温・高圧力下で安定であると報告されている鉱物にはいくつかあるが、第一原理計算によりその全てにおいて水素結合の対称化がおきていると予言されている。このうち-AlOOHでは、高圧下におけるX線回折実験やブルリアン散乱により、圧縮挙動や音速の変化が報告されている。本研究ではこれらの物性変化と、水素結合の対称化の関連を探るために、J-PARC、物質・生命科学実験施設の超高圧中性子回折装置PLANET高圧下中性子散乱実験を行った。実験では、-AlOOHについて、021反射の強度が高圧下で弱くなっていくのが観察された。これはからへの相転移を示唆しており、以前の単結晶X線回折実験の結果と調和的である。一方、差フーリエ解析では、水素の分布が二つの山をもっているのが確認され、への相転移は水素がディスオーダーしたことによるものと考えられる。D化した試料では相転移圧が高圧側に移動することも明らかになった。
佐野 亜沙美; 服部 高典
no journal, ,
水素は、鉱物のフレームワーク中に水素結合として取り込まれ地球深部に存在している。圧力を印可した場合の水素結合の変化は鉱物の結晶構造により様々であるが、最も興味深い現象のひとつが、水素が二つの酸素間の中心に位置する"対称化"である。本研究では、含水鉱物-AlOOHについて、これまで報告されている高圧下における物性の変化と水素結合の対称化の関連を明らかにするために、高圧下における中性子回折実験を行い、水素位置の決定を試みた。高圧下における粉末中性子回折実験はJ-PARC、MLF内BL11(PLANET)にて行った。実験の結果、-AlOOHでは、021反射の消失が8.4GPa以上で確認され、先行研究同様Pnnmへの相転移が示唆された。一方、重水素化物では相転移圧はより高く、12.1GPaであった。発表では差フーリエ解析による水素の核密度の分布の詳細を示すとともに、物性変化との関連、同位体効果について議論を行う。
本元 悟*; 長壁 豊隆; 桑原 慶太郎*
no journal, ,
充填スクッテルダイト化合物PrFePについて、同一加圧条件の下で、5.5GPaまでの中性子磁気回折と電気伝導の測定を行った。この物質は、2.4GPa以上で絶縁体転移すると共に、反強磁性秩序を示す。当初、この絶縁体転移は、反強磁性秩序に伴うスレーター絶縁体転移と考えられていたが、我々の測定の結果、f電子と伝導電子の混成により生じる混成ギャップである可能性が明らかになった。さらに、このギャップは加圧とともに大きくなるが、4GPa付近から再び減少することが新たに明らかとなった。一方、反強磁性転移温度は、混成ギャップと負の相関があり、4GPa付近から急激に上昇することがわかっている。現時点では、これらの振る舞いの微視的な解釈はできていないが、この物質の特殊なフェルミ面の不安定性がこれらの現象に深く関係していると考えている。
長壁 豊隆; 桑原 慶太郎*; 本元 悟*; 加藤 義博*
no journal, ,
強相関電子系物質の圧力誘起相臨界領域で発現する新奇物性を、同一の高圧試料環境下において構造-磁性-伝導の相関の視点から研究するため、中性子回折用ハイブリッド式対向アンビル(HA)を用いて電気抵抗との同時測定を実現するための技術開発を行っている。アンビル式の高圧装置で電気抵抗を測定する場合、ガスケット表面の絶縁手法の開発が特に重要な要素になるが、本研究開発では、ガスケット表面に特殊な陽極酸化皮膜(ミタニライトト)を形成し、これを絶縁層として利用するというこれまでにない方法を実用化した。これまでに、この手法を用いて充填スクッテルダイト化合物に対する測定を行い、圧力誘起磁気秩序とp-f混成効果の競合が、この物質の特殊な相図の起源になっていることを明らかにした。